保育士さんの悩みで多いもの
本日よりグーグルで「保育110」で検索すると引っかかるようになり、思わずニヤツイてしまいました。
人間関係の悩みが最も多い!?
さて「保育士 悩み」で検索していると色々な保育士さんの悩みが出てきます。大抵のサイトは記事の終わりに大本の保育士派遣会社などを紹介するサクラの記事ばかりでげんなりしますが、言っている事はそれなりに的を得ている部分もあると思います。
見ているとやはり「人間関係」についての悩みがかなり多い印象を受けます。考えてみれば賃金が低いことは入職前に分かっているはずで、本来はそこで悩んではいなかったが、「こんなに辛いならこの給料は合わないよ!」となって、結果的に賃金の低さが離職の大きな理由になっている気がします。
私は男性保育士として勤務していたので、いわゆる女社会のイジメのようなものは避けてこれましたが、やはりその手の話は良く聞きます。
でも考えてみるとこれは保育業界に限らず、女性メインの仕事であるならば避けては通れないはずです。なぜ保育業界でよく聞かれるかと言うと、「チームで保育をするから」です。
チーム保育の難しさ
昨日の記事では幼児クラスの一人担任について触れましたが、一方、乳児クラスは複数でクラス運営を行うことになります。
一年目の新人さんがベテランと組むパターンも多いです。一人担任は自分のペースで出来るメリットがある分、複数担任は1年間、毎日同じ人と仕事をするため、性格や保育観の違い、仕事のやり方や能力など細かいところで噛み合わないと精神的にかなりやられてきます。
実際のケース
私も以前、他園から転園してきた30代後半の主任とチームを組んだ時(その時は3~5歳の幼児合同クラスでした)、本当に苦労したことを覚えています。
一番辛かったのは、やはり「保育観の不一致」でした。その先生は子どもを「まとめること」「しつけること」に最も情熱を持つタイプの先生でした。(余談ですが、この先生も保護者相手の対応はとても気さくで評判が良かったです。)
給食の好き嫌いを許さず、転園してきて間もない子を泣かしながら他の子が食べ終えた後も食べさせていました。今では知っている方も多いと思いますが、子どもに嫌いな食べ物が出来てしまう理由の1位が「小さいころに無理やり食べさせられたため」です。極端な例だと、小さい頃に無理やり白米を食べさせられた子が30歳になるまで、ご飯を一切食べられなくなったという実例もあります。
「子どもの好き嫌いを無くそうとしている先生」が「子どもの好き嫌いを増やしている」という皮肉な結果になっています。
間違った「保育観の先生」の思考回路
思えば日本の親の子育ては常に「~しそうだからやめなさい」「~しちゃダメだからやめなさい」という前もっての声掛けが非常に多い気がします。
上記の先生も「今後、もしもこのまま好き嫌いが残って困るのはこの子だ。だから私が指導していることは正しいんだ。」という理屈です。
ですが、こういった考えの先生に限って「科学的・学問的なアプローチをせず、自分の思い込み・経験だけで判断する」傾向が強いです。
だってデータとして「無理やり食べさせるともっと好き嫌いひどくなるよ。」と出ており、保育指針にも「毎日の生活と遊びの中で、自らの意欲を持って食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、大人や仲間などの人々と楽しみ合う子どもに成長していくことを期待するものです。」と書かれているから、「食育は子どもが楽しめることが大前提なんだ。」と読み取れます。
更に言えば「子どもに無理やり食べさせてでもいいから、好き嫌いを無くさせて下さい。」と頼んでくる保護者は皆無です。(少なくともこの子の親はそうではありませんでした。)
そうなるとこの先生は誰からお願いされているわけでもなく、完全に自分の主観だけで、しかも「今後このまま大人まで続いたら、この子が困るはずだから」という仮定、思い込みだけでこのような保育をしているわけです。
というよりもあまり考えずにこの保育スタイルになってしまっています。
間違った保育観になってしまう理由
理由①「子育てをしたことがないから」
子どもを育てたことがある親なら、一時期子どもは好き嫌いが激しくなって、でもちょっと直って、やっぱりまた出てきててという風に変化することを知っています。
この先生は40歳手前でまだ結婚もしておらず、彼氏もいないようでした。保育園という体力面で負担がかかる仕事において長年続けられている方の中には未婚の方もいらっしゃいます。
もちろん違う方も多数いらっしゃるとは思いますが、そうした方は普通の親が持っている目線からどんどん離れてしまい、自分が築き上げてきた「保育」という考え方に固執する傾向の強い方が私の実体験として多かったです。
理由②「自分の人生経験と過去の先輩の保育を見てきたことによって」
保育という仕事は、事務作業などと違って正解が無いので、自分の人生経験によって、また先輩のやり方を真似することによって、スタイルが形づくられてきます。
人生経験というところでは、まずは「親からどのような子育てをされてきたか」がかなり大きな要素となってきます。親から厳しくしつけを受けた人はやはり「それが正しい、もしくは正しいと信じたい気持ちが強い」ので、おのずと自分もそのスタイルになってきます。
一方、そうではない場合もあります。私が職員面接をした際、「親にとても厳しく育てられた。なので自分は子どもの自主性を尊重したい。」と反面教師として親を見ている場合は、真逆の子育てをされている方もいらっしゃいました。
ですが、親から受けた影響があり、なおかつ過去の勤務先で間違った保育を受け継いだ結果、その先生は凝り固まった保育観を持ってしまったようです。
私は何度もその先生と話し合いをしたり、飲みに行ったりを繰り返し、都度「子どもの主体性を尊重することが大切ですよ。」と伝えていました。
その結果、仲は良くなったのですが、保育観のずれは変わりませんでした。私がまだ経験も未熟で説得力が無かったせいもあります。
現場の保育士がどのように現状を乗り越えればよいか?
私はこの時、保育観が凝り固まってしまった人を変える事はかなり厳しいことを感じました。なので、重要なことは若い先生に正しい保育を教えてあげることこそが保育の質向上になると考えています。
もし、そのような状況に合っている先生がいましたら、すぐに出来ることで一つアドバイスを。「周りの先生の良いところだけ盗む」どんな先生でも必ず優れた保育スキルがあります。
それだけを盗んでいれば、良いところだけ集めた最強の保育士になれます。いつかその園を離れ、理想の園に行く時のために日頃から自分の保育を磨いておいて下さい。
今同じような悩みを持っている先生がいましたら、気軽にご相談下さい。