保育園の見学ポイント十箇条

よく見学に来るお母さんから「見学時どのような点を見ればいいのか?」という質問を受けるのでお答えします。

まず最も有名で役に立つものが、厚生労働省から出されている「よい保育施設の選び方 十か条」というものです。

ただこれだけを見てもちょっと漠然としている部分もあるので、私が思う点について解説していきます。

時間が無い方はより実践的な5条以降を先に見て頂くとよいと思います。


よい保育施設の選び方 十か条

一 まずは情報収集を

・市区町村の保育担当課で、情報の収集や相談をしましょう

⇒ここは鉄則ですね。ただし、行政からは基本的な情報しか得られないので、自分で各施設のHPを事前に見ておくことは重要です。

また行政の資料から運営時間などの基本的な情報は得られるので、自分の条件に合うか(18時30分までの開園など)を確認しておくと、無駄に見学をしなくて済むと思います。


二 事前に見学を

・決める前に必ず施設を見学しましょう

⇒ここも当然見学は必要なのですが、認可・認可外バランス良く見学しましょう。たまに認可だけ見学される方がいて、あとで焦って認可外を見学するというケースもあります。認可外は見学できる日が決まっている園も多いので、情報収集を忘れずに。

ポイントとしては、「電話対応が良いか」も重要です。顔が見えていない分、普段の園の姿勢が出やすいです。また誰でもしっかり電話対応できるように社内研修を行っているかの目安にもなります。「保育が良い園は電話対応が良い園が多い」ことは簡単に想像がつきます。


三 見た目だけで決めないで

・キャッチフレーズ、建物の外観や壁紙がきれい、保育料が安いなど、見た目だけで決めるのはやめましょう

⇒外観の見た目だけで本当に決めてしまう人は恐らくいないと思うので、ここの部分で重要なのは「上っ面にダマされないで中身を見て」というメッセージです。上っ面だけで決めてハードルを上げていると、入園後ガッカリします。

また特に認可外において「保育料が安い」点は注意が必要です。認可園よりも少ない補助金なのにも関わらず、保育料も安くできている園は

①昔から続く本当に良心的な園

②保育料を下げた分、人件費を削ったり、園児を詰め込んでいる園

のどちらかが考えられます。特に「安い」かつ「朝から夜まで長時間運営している園」は、注意した方がいいと思います。


四 部屋の中まで入って見て

・見学のときは、必ず、子どもたちがいる保育室の中まで入らせてもらいましょう

⇒ここもマストです。見学の時点で中に入れない園は、入園後まず保育を見れません。というか保育室を見ないとどんな園かは分かりません。

見れた場合のポイントについては次条よりお伝えします。


五 子どもたちの様子を見て

・子どもたちの表情がいきいきとしているか、見てみましょう

⇒ここはかなり難しいです。というのも「午睡中に見学対応、土曜日に見学対応」する園も多いからです。

これは隠してたり、やましいわけではなく、「現場を大事にしているからこそ、子どもに影響が無いよう配慮している」園もあるからです。平日や午睡中以外では、見学対応に一人取られてしまいます。その人員を現場に入れて現場を助けたいと思うからなのです。(でも、もしかしたらやましいから、その日時にしている園もあるかもしれません。)

ということで子どもが見れる場合は観察をしてほしいのですが、「せわしなく子どもが遊びに集中している」園は良い園と言えます。これは遊びが発展して「じゃあ次はこれ」「今度これ」というように子どもが遊びを展開させているからです。ただし、「やることが見つからずバタバタ歩き回っている」とは全く違うのでご注意下さい。


六 保育する人の様子を見て

・保育する人の数が十分か、聞いてみましょう
・保育士の資格を持つ人がいるか、聞いてみましょう

 

⇒資格者や人数については積極的に聞いていいと思います。ただし「人が足りていません」という人もいません。この場合は聞いた時の「相手の表情やしぐさ」に注意し、「ドキドキしていないか」「自信を持って答えているか」を見て下さい。


・保育する人が笑顔で子どもたちに接しているか、見てみましょう
・保育する人の中には経験が豊かな人もいるか、見てみましょう

⇒ここも難しいのですが、「見学時に荒い保育をする人はいない」ということですもしいたら問答無用でアウトです。

ここでのポイントは、担当者と話している間、「聞き耳を立てておくこと」です。見学者に聞こえない、見えていないと思っている時に本当の保育が垣間見えます。その場を離れた後にちらっと見ておきましょう


七 施設の様子を見て

赤ちゃんが静かに眠れる場所があるか、また、子どもが動き回れる十分な広さがあるか、見てみましょう

⇒ここでのポイントは「遊・食・寝」を極力分けているか?です。保育の中で、この3場面は重要な意味を持ちます。広さなどもありますが、「遊ぶ場所」「食べる場所」「寝る場所」をしっかり分けている空間は良い空間と言えます。


・遊び道具がそろっているかを見て、また、外遊びをしているか聞いてみましょう

⇒玩具に関しては、「ショッピングセンターのお遊びスペース」「車屋さんの遊びスペース」に置いてある玩具が最もレベルとしては下になります。

様々な場所があるので、全てとは言いませんが、こういう場所は、「子どもが遊ぶこと」はおまけに過ぎないので、「低コスト」かつ「量が多い」玩具が置かれます。それ自体は全く悪いことではないのですが、「子どもが遊ぶ」最高の場所である保育園でその程度の玩具しか無い場合は、玩具面では期待があまり持てません。

つまり「少数多品種」の玩具を揃えていることが、様々な子どもの興味に対応できる園だと言えます


 ・陽あたりや風とおしがよいか、また、清潔か、見てみましょう

⇒「清潔」についてのポイントです。恐らくここを言われると多くの保育園は嫌がるというか、やれている園の方が少ないかもしれないのですが、「イスの足を見る」です。机は綺麗に拭く園がほとんどですが、イスの足を毎日拭けている園は少ないと思います。

なぜここを見るかと言うと「イスの足を毎日拭けるほどの余裕を持って保育を行っている」からです。見落としがちなイスの足まで綺麗な園は良い園と言えるでしょう。



 ・災害のときのための避難口や避難階段があるか、見てみましょう

⇒時間などの都合でここまで見れるかどうかは微妙なところですが、「避難先はどこか?」などの基本的な質問に、担当者が即座に答えられない場合は少しまずいかなと思います。



八 保育の方針を聞いて

・園長や保育する人から、保育の考え方や内容について、聞いてみましょう

見学において一番大事なことはやはりここだと思います。ポイントは「自分の考えに合うか?」です。どの園もそれなりに保育方針や特色があり、見学時の対応では綺麗な言葉で語られます。実際は入園してみないと分からない部分も多いです。

ただ、基本的な考えが自分と合っているならばそんなに大きくズレません。(例:教育主義、子ども主体など)

私がよく例えて言うのは「家を見る時と一緒」ということです。家も住んでみなければ結局のところ分からないので、「フィーリング」「直感」が大切です。最後は自分を信じるしかない部分もあります。


 ・どんな給食が出されているか、聞いてみましょう
 ・連絡帳などでの家庭との連絡や参観の機会などがあるか、聞いてみましょう

⇒この辺は基本的な所ですが、「給食のサンプルや献立を見せてくれるか?」、「実際に記入された連絡帳を見せてくれるか?」という点です。これは内容云々よりも「保護者が関心あることについてしっかり伝えようという気持ちがあるか?」ということです。給食や連絡帳はよく聞かれる質問なので、良い園は事前に準備をしていることでしょう。


九 預けはじめてからもチェックを

・預けはじめてからも、折にふれて、保育のしかたや子どもの様子を見てみましょう

⇒朝やお迎え時に見れる園は見ておくといいでしょう。最初は子どもも泣き、慌ただしいのが普通なので、慣れてきた6月以降が素の保育を見れるタイミングだと思います。



十 不満や疑問は率直に

・不満や疑問があったら、すぐ相談してみましょう、誠実に対応してくれるでしょうか


⇒基本的に保育という仕事を選んだ人は「人に尽くしたい」という思いが少なからずあると思います。ただ人間なので、「丁寧に言われれば丁寧に答える」し、「乱暴に言われればやる気をなくす」ことになります。

へりくだって聞く必要は無いので、誠意をもって丁寧に質問してみて下さい。


ここまで読んで頂き、有難うございました。