「保育書類が大変」は大きな間違い!?

毎日記事をシェアして下さっている方、本当に有難うございます。書く力になっています。

さて今日は保育書類について考えてみます。

「保育士がつらい」理由について報道でよく上がる2大理由が「低賃金」と「勤務後の書類仕事の多さ」だと思います。ここに関して私はいつも違和感を感じていました。

「えっ なんでそんなに大変なの?」ということです。

どうやら恐らく私の考えと世の一般の保育士さんとではここに大きな隔たりがあるように感じましたので、私の考えを述べさせて頂きます。


書類って誰のための物?

まず大前提で「書類が大変!」と言っている人に聞きたいのですが、「保育書類って誰の物なのか?」ということです。

「保育書類が誰のものか分からない」と私が感じるエピソードとして、専門学校生による保育実習が挙げられます。

以前もお伝えしたとおり、私は一般大学在学中に一般試験を受けて資格を得たので、保育実習というものは行った事がありません。でも受け入れ先になったことがあり、保育計画なるものを見せてもらいました。


ビッチリ手書きで埋め尽くされた保育計画

実習生によって、「一分ごとにビッチリ細かいアリのような字で書かれた計画」。さらにそれに負けじと担当保育士が書き込む「あれ直して、これ直しての添削の嵐」。さらに「鉛筆書き縛り」。パソコンは駄目な風潮がなぜかあるので、せこせこ消しゴムで消していました。

それを実習期間中、毎日夜中まで作成し、翌朝持っていくということを繰り返します。

「えっ 普段の保育でそんなことしている人いるんですか?」「そんな一分ごとのスケジュールって子どもの様子で大幅に変わってきますよね?」

そういうことが好きな人の返答は想像がつきます。

「見通しを持った保育を行うための勉強」「計画とどこが変わったかを知るのが実習だから」

なるほど。でも普通の保育士が普段やってもいないようなことを現場に入る前の「保育ってどんなに楽しいんだろう」とドキドキワクワクの人に対して行うのってどうなんでしょうか?それで本当に「保育って楽しそうだな」って思ってもらえるのでしょうか?

「保育という仕事はそんなに甘くない」ということを伝えるためには必要だ!というならば、「その雑務の多さにいつもグチグチ言って辞めたい」と愚痴をこぼしているのは誰なんだ?と問いかけたいです。


保育士を苦しめているのは保育士!?

この構図は、部活で体罰が繰り返される構図とそっくりです。「自分はやられて嫌だったけど、後輩がされなくなるのはずるい。こうやって皆強くなってきたんだ。」という理論です。保育士がよく子どもに言う「自分がやられて嫌な事はやっちゃだめよ精神」はどこへ行ったんでしょうか。

保育士という職業の入口である保育実習において「書類はびっちり隙間なく書くもの」というイメージを植え付け、就労先に送り出す専門学校と実習生を受け入れている保育園。

今保育業界で問題とされている「書類仕事の多さ」は保育業界自身が作り上げているのです。


何を優先的にやるべきか?

もちろん全てに手を抜けというわけではありません。

私も担任を持っていた時期は残業していたこともありました。ただし、私が夢中になっていたのは「保育環境の設定」です。

保育室という空間をどうやれば子ども達が集中して遊びに取り組める空間が作れるかを考え、日夜同じ担任の先生と「お絵かき・工作ゾーン」「ブロックゾーン」「カプラゾーン」「構成遊びゾーン」「ゲームゾーン」「おままごとゾーン」など保育空間をアレンジしていました。

また「セミバイキング方式」を取り入れ、自分達で給食の量を決めるといった保育方法を実施したりもしました。

これらの取り組みはは次の日には子ども達の反応が見れるので、とてもやりがいがあり、楽しかったです。

こういったことはなかなか保育中で考えたり、部屋をいじることは難しいので、どうしても勤務後になってしまいます。でも全然苦ではなかったです。だって「子どものためのことだから」です。


保護者も国も園長も望んでいない

保護者は自分の子どもを何としても保育園に入れたい!

国は何としても待機児童を減らしたい!

園長は保育士を確保しないと経営が立ち行かない!

この三者の誰が「仕事を辞めたいと思ってしまうほど、勤務後、残業してまで書類仕事をやってほしい」と思っているでしょうか?

全員が「そんなことよりも少し手を抜いてでもいいから、長く保育園で働いてほしい」と思っているはずです。

最も大切な子どもも先生に一番望んでいる事は「先生に笑顔でいてほしい」だと思います。

書類仕事を楽にするための方法

1.パソコンで作成することを当たり前にする

修正器とペンを駆使して書くの止めませんか?パソコンなら楽に作れます。


2.ある程度はコピペもOk

子どもは一人一人違いますが、だからといって全部が全部個別化する必要ありますか?そしてそれを書類で全て計画する必要ありますか?その時間を実際の保育で一人一人と向き合える余裕を持てる形に使いませんか?何といってもパソコンだとコピペが楽です。


3.市販のソフトを使う

今は色々な保育書類の補助的なソフトが出ています。物理的な時間を極力減らしませんか?


4.ビッチリ書かない。書かせない。

強迫観念のようなあの感じやめませんか?私の所属する行政の監査では、監査員から「そんなにびっちり書く必要は無いわよ。」と言って頂けました。

監査をする行政側も「何となく」過剰に書かせる癖を止めてください。あなた達の満足を満たすだけに多くの保育士が多大な時間と労力を注ぎ、子どもとゆったり関わる時間を割いてまで、書類を作成していることを忘れないで下さい。

園長と主任については言うまでもありません。貴重な人材をそんなことで失って本当にいいのですか?


5.自分に役立つためだけに頑張る。

とはいっても、日頃の保育を見直す良いものでもあることは間違いありません。自分の保育を向上させるためだけに書類を作りましょう。言い換えれば、それ以外の部分は手を抜いちゃいましょう。


ここまで記事を読んで頂き、有難うございました。

色々賛否両論があるかと思いますが、私が強調したい点としては、「長く働ける業界にしませんか?」「子どもと関わることを最優先にしませんか?」という2点です。ご理解頂ければ幸いでございます。