保育相談サイトを作ったきっかけ

保育のつらい思い出

私が保育相談サイトを作ろうと思った経緯については、ある保育士さんの保育を思い出したことがきっかけでした。

私は過去に認可保育園で勤務しており、入社して5年目頃には各園を訪問し、様々な課題を解決する仕事を行っていました。

ある日、訪問先の園で、保育士2年目の先生の保育を見た時にショックを受けました。

その先生は3歳児クラスの担任だったのですが、子ども達を壁に一列に座らせ、威圧的な態度で話をしており、ある一人の女の子が皆の前で激しく怒られていました。その間、他の子は黙ってそのやり取りを見ているしかありません。一方、その子が怒られている理由も些細なことであり、それほど怒られるような内容でもありませんでした。

私が何にショックを受けたかというと、その女の子は私が保育士1年目だった年に受け持った子の妹でした。そのため赤ちゃんの頃からよく知っており、とても明るくお転婆なイメージが印象的でした。その子が今は恐怖におびえ、「この先生から嫌われないようにはどうすればいいか」ということで頭が一杯のようでした。先生の「遊ばなくていいの!?」などの激しい問いかけに「嫌だー」とひたすら泣きながら懇願していました

こういった保育は全国の至るところで行われているのが現状です。

ずさんな保育が行われてしまう理由 その1

この原因の一つは、新人保育士にとって何が正しいか分からないため、子どもをまとめようとするあまり、上手くまとまらないことで、感情的になってしまいがちだからです。

では先輩が教えてあげればいいではないかと思うかもしれませんが、近年の待機児童問題により、急速に保育園数が増えたこと、また低賃金・重労働により退職者が多い事から中堅職員がごっそり抜けて、新人とベテランに偏ってしまったため、日常的に親身に教えられる先輩がいない、自信を持って保育を語れる先輩が少ないという現状があります。

また園長は保育経験者ではなく、本部から管理者として派遣され、保育について右も左も分からない人だったり、人材がいないため、20代で園長を任されるケースも増えています。

また感情的になってしまいがちな人ほど、責任感が強く、周りに迷惑をかけないため、何とか子どもをまとめようと焦ってしまう傾向があります。何を隠そう私自身も保育士一年目の時には、どうやって子どもをまとめて良いか分からず、子ども達がまとまらないと、激しく怒鳴っていた時期もありました

自分なりに精いっぱいやっているつもりが、いつの間にか子どもを締め付けることが保育だと勘違いしてしまっていたのです。

ずさんな保育が行われてしまう理由 その2

もう一つの原因は、幼稚園・保育園ともに入社1~2年目で一人で担任を任されることも多く、一人担任制はいい意味でも悪い意味でもクラス運営が担任の王国のようになってしまい他の先生が口出しをしづらい空気があるという点です。

保育という仕事は子どもとの関わりの中で、1日1日変化をしていく要素があるので、他の先生がパッとクラスに入っても状況をつかみにくいという点があります。また肝心の園長や主任は事務所で優雅にお茶を飲んでいて、現場のことは全く分かっていなかったりします。

担任は原則1年は変わらないので、もし子どもが合わない先生だったり、怖い先生に当たってしまうと、1年間びくびくしながら過ごすことになります。色々な事を学ぶ本当に大事な6年間のうちの1年間をそんな風に過ごしてしまった子に、将来どんな影響が出てくるのか想像しただけでも恐くなります。

保育士が退職してしまう本当の理由

こういった状況の中で、保育士は長時間労働かつ低賃金で働かされているので、すぐに辞めてしまっても何ら不思議はありません。最近のニュースでは労働時間と賃金の問題ばかりが指摘されています。

しかし私は問題の本質は「目指すべき保育が見つからない、もしくはその保育園では追いかけられない」ことこそが保育士が辞めてしまう大きな理由であると思っています。

こういった状況について、預けているお母さんは知りません。日中どんなに恐い保育士も、お迎え時の保護者対応など大人相手の対応は、丁寧に出来る人が多いからです。

冒頭の子のお母さんは、自分の娘が多くの子の前で怒鳴られている様子を見た時に、どんな気持ちになるでしょうか。自分の子どもが同じことを保育園でされたことをイメーするだけで本当に涙が出てきます。

こういった状況を一つでも改善するため、このサイトを使い、日頃の保育に関する悩みがあったらどんどん相談して下さい。

悩んでいる保育士さんへ

悩んでいるのはあなただけではありません。皆同じように「毎日子どもを怒鳴ってばかりいる」「自分の保育は本当に合っているのか?」「保育という仕事ってこんなに辛いものなの?」「園長・先輩の保育が絶対正しいと思い込んでいた」「職員との人間関係に疲れた」と思っています。

お母さん方へ 

お母さん方が知らない保育園のブラックボックスは、もしかしたら問題がたくさん隠された世界かもしれません。親である自分と過ごす時間よりも長い時間を子どもは保育園で過ごしています。

そんな空間が毎日辛く恐い場所であったら、どんな気持ちになるでしょうか?お母さん自身も目先の保育園の「量」を追ってばかりでなく、厳しい現実を知る必要があります

皆さんで保育園に存在する問題について話し合い、一人でも多くの子どもに笑顔が届くように頑張って行きましょう!